vol.141 こじか保育園 卒園式

三月。今年も鹿鳴福祉会が運営する草深こじか保育園と第二保育園の卒園式がやってきました。
理事長として卒園証書を手渡す。 これは私にとって、一年でいちばん胸が熱くなる仕事です。

その日、ホールに並んだ子どもたちは、いつもの元気いっぱいの顔とはちょっと違いました。正装に身を包み、背筋をピンと伸ばして、どこかキリッとした表情。ほんの数年前まであんなに小さかった子たちが、こんなにも凛々しくなるのかと、毎年のことながら驚かされます。

何度も練習を重ねた式はスムーズに進んでいきます。けれどその横で、保護者のみなさんは終始涙ぐんでいる。園児一人ひとりの名前が呼ばれるたびに、客席のあちこちからすすり泣きが聞こえてくる。そして卒園の言葉、保護者への感謝の歌。小さな声が重なってホールに響いた瞬間、お母さんたちの頬を涙がつたい、会場は静かな感動に包まれます。

ふと思い出すのは、入園したばかりの頃のことです。毎朝、園の玄関でお母さんの手をぎゅっと握って離れられず、大粒の涙を流していた子どもたち。先生に抱きかかえられて、ようやく「いってらっしゃい」ができた朝もあったでしょう。あの日の小さな手が、今日はしっかりと卒園証書を受け取っていく。あの頃の涙と今日の涙は、まったく別のものです。

成長したのは子どもたちだけではありません。送り迎えのたびに先生と言葉を交わし、行事のたびに我が子の変化に気づき、時には悩みながらも一緒に歩んできたお父さん、お母さん、保護者の方々もまた、この園で「親」として成長してきた。その姿を間近で見られることが、理事長という立場を超えて、私にとって何よりの喜びです。

人がいちばん愛おしく、いちばん成長が目に見える時期に関われること。それは保育という仕事が持つ、かけがえのない力だと思います。

四月からはピカピカの小学一年生。新しい世界が待っています。でも忘れないでほしい。草深こじか保育園は、いつまでもみんなの「母校」です。大好きだった先生たちは、ここでずっと待っています。ランドセルを背負って、いつでも会いに来てください。

卒園、おめでとうございます。

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