vol.146 動かないことも、ひとつのリスク

先日、熊本で大きな地震がありました。
亡くなられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

そのとき私は、福岡・久留米の事業所へ向かう途中で、ちょうど天神駅から電車に乗ったところでした。
突然、車内のあちこちで携帯電話の緊急地震速報が一斉に鳴り、その直後に大きな揺れが来ました。

電車は出発を見合わせ、「線路の安全が確認できず、運転再開の見通しは立っていない」とのアナウンスが繰り返されました。
さらに改札が開放され、「外へ出る方はどうぞ」と案内されたとき、これは簡単には動かないだろうと感じました。

一時間たっても状況は変わりません。
多くの人がそのまま待つなか、私は別の移動手段を調べました。
電車は止まっていても、道路は動いているかもしれない。
高速バスの運行を確認すると、久留米方面は動いていました。
すぐに福岡空港へ移動し、すでに150人ほどが並ぶ列に一時間半並んで、何とか乗車することができました。

その後、西鉄電車は終日、久留米まで運行しなかったそうです。

もちろん災害時に、むやみに動くことが正しいわけではありません。
まず身の安全を確保し、正しい情報を集めることが大前提です。

しかし、「誰も動いていないから」「もう少し待てば何とかなるだろう」と、判断を先送りすることにもリスクがあります。
これは経営にも通じます。
先が見えないときほど、完璧な答えを待つのではなく、今ある情報から次の選択肢を探し、小さくても一歩を踏み出す。
もし違えば、そこでまた軌道修正すればいい。

大切なのは、一つの方法に固執せず、常に別の道を考えておくことです。
不安なとき、人は立ち止まりたくなります。

けれど、不確実な時代に必要なのは、恐れずに動く勇気と、状況に応じて進路を変えられる柔軟さです。
被災地の一日も早い復旧を願いながら、日頃の備えと、冷静に次の一手を考える大切さを改めて感じました。

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